単純作業にかかるコストをAIで削減を。現場の声から生まれた開発ストーリー

開発ストーリー

2024.10.23

ECサイトにおけるモデルの着用画像は、身長などのスペックを記載することでより具体的にイメージが得られます。ただしその入力作業は、単純ながら膨大な数をこなす必要があり、多くの労力が必要でした。現場の声を拾い上げたaicoチームがどのように機能を実装していったのか、プロジェクトメンバーに振り返ってもらいました。

K.I
アパレルのEC撮影業務に興味を持ちダイアモンドヘッドに入社。スタジオで商品画像や原稿などEC販売に必要な情報作成の進行管理・登録を行う。
M.F
ダイアモンドヘッドの技術スタックに惹かれ入社。入社後は、アパレル向けSaaSシステムの開発とAI事業の2チームにアサインされ、Web開発、AI機能開発を行っている。
H.F
自由な社風に惹かれてダイアモンドヘッドに入社。アパレル向け商品情報管理システムの開発を担当している。

きっかけ・はじまり

毎日の業務を圧迫していた課題を解決するプロジェクト

まずは皆さんの業務内容についてお聞かせください。

(M.F)aicoに関する開発および運営をしております。

(H.F)PCS(商品情報管理システム)の既存機能の改善や新規機能の開発などをしています。

(K.I)クライアントとの窓口を担当しながら、スタジオにて商品の撮影・採寸・原稿作成の進行管理と、PCSへのデータ登録作業を行っています。

プロジェクトについて概要を教えていただけますか?

(M.F)ECサイトの商品画像における、モデルの身長などのスペック入力を、これまでの手動作業から、AIの技術を活用した自動入力に切り替えるプロジェクトです。

今回のプロジェクトが始まるきっかけは何だったのでしょうか?

(K.I)モデルのスペックを登録するには、各商品ごとに毎回手入力をしなければなりませんでした。モデルの顔から名前を思い出し、チーム内で管理しているデータを検索しなければならず、もし思い出せない場合は、撮影表を遡って確認して名前を探すところから始めなければいけない仕組みでした。
1回の作業自体は1分で済むのですが、それが1日100件、ほぼ毎日の業務となると、とても多くの工数が取られており、何とかしたいと感じていました。

(M.F)元々画像識別AIは機能開発を進めていたのですが、業務に組み込んでいくアイデアは、チーム内の会議の中で生まれました。機能発表をした際に、PCSに組み込んでみてはどうか、とスタジオ業務経験のあるメンバーからアドバイスを頂いて、プロジェクトとして進み始めましたね。

(H.F)AIを使用して解決できる課題はないかと探していたところだったので、うまくマッチした形となりましたね。

どのようにしたか

課題をクリアするには現状をしっかり把握する必要があった

コミュニケーションはどのように進めていったのでしょうか?

(H.F)開発拠点である札幌オフィスと、PCSの現場である東京のスタジオは遠隔となるので、基本的にはメールやSlackで行い、操作説明などはMTGで行っていました。
Fさんと二人で画面共有をしながら、MTGの場で1枚1枚手動でアップロードを試すなど、地道な作業も行いましたね(笑)

実際にプロジェクトを進めるにあたり、障害はありましたか?

(H.F)我々のスタジオ側の業務についての理解が浅かったことが要因なのですが、どのようにモデル情報を入力しているのか、また、その際のルール把握が明確でなかったため、機能修正や進行が難しかったですね。その後、スタジオ側との密なミーティングを通じて、業務の流れやルールを確認することで問題は解決しました。次回からは、より早い段階で詳細なヒアリングを行い、スムーズに進行できるようにしたいと考えています。
また、最初にFさんが作成した基盤を運用にのせるための引継ぎを行ったのですが、AI部分の仕様を理解するのが非常に大変でした。普段はWeb開発業務を行っており、AIの開発経験が浅かったので…。
ただ、そこはAIに知見あるインターン生の力が非常に大きな手助けになりましたね。他のメンバーからのヘルプもいただきつつ、形にする事ができました。

(M.F)私は仕様の確定が難しかったですね。このようなAIを用いた機能開発の前例がなかったため、プロトタイプを見せながら仕様を確定していくというフローになりました。プロトタイプを作成しフィードバックをいただく作業の繰り返しでしたね。
システム側がOKでも現場に響かないこともありますので、現場に届ける難しさを知りました。
また進行あたってはPM歴の長い先輩に非常に助けていただきました。

何を実現したか

できあがったときの気持ちはいかがでしたか?

(M.F)ドキドキですね。開発者テストはできているのですが、実際スタジオの方に試してもらうまでは本当に動くのか?と心配でした。

(K.I)こちらは驚きできたよ。モデルの読み取り精度にびっくりでした。ポージングによって顔の確度とかが変わっていても、かなりの精度で読み取っていてすごいなと。

(H.F)嬉しいですね。私はしっかりと進行できるか不安だったので、ひと区切りついた時の気持ちは安心の一言ですね。スタジオの業務がわからない中でのスタートでしたので、形になってホッとしました。

実際に導入してみて変化は感じられましたか?

(M.F)お披露目会の時に、スタジオの方が前のめりに反応していただいて、嬉しかったです。

(H.F)手作業よりも早く作業できるようになったとお聞きしましたね。

(K.I)そうなんです。一度に大量の商品を登録していくので、作業の短縮化が実現されて本当に嬉しいです。具体的にはモデル名の入力作業がワンクリックでできるようになり、作業が非常にシンプルになりました。登録作業の短縮化を実現できていますね。

これからについて

プロジェクトで得た知見を他の多くのプロダクトへ

今後、改善していきたいポイントはどこでしょうか。

(H.F)今私が考えていることは、もっとモデル画像を登録しやすくなるように、モデル画像登録画面のUIを修正したいということですかね。

(M.F)そういったことも含め、スタジオの方からもフィードバックをいただきながら、課題を取りまとめていって改善していきたいです。AIにとらわれず、スタジオの業務を改善するという目的を見失わずに進めていきたいと考えています。

(K.I)ではさっそく。(笑)改善すると嬉しいポイントは、読み取り速度の向上ですね。純粋に作業時間がさらに短縮できますので。

(H.F)確かに、読み取り速度向上については課題点ですね。こちらもアップデートしていきたいと感じていました。

(K.I)着用サイズ名も自動入力されると完璧だと思います。画像からタグを読み取って自動でサイズ判別できるとか!

(M.F)実はチーム内で既に案が出ていたんですよ。現場の需要がわからなかったので着手できていない機能でした。

(K.I)そうなんですね!ありがたい機能なのでぜひお願いしたいですね。
それと、今回の機能とは直接関係はないですが、アパレルの洗濯表示を自動で読み取ってくれるAIとかは作れるのでしょうか?人が入力するとミスが起きる可能性もありまして、お客さんに間違った情報を伝えると大変なんです。

(M.F)まさにそれも過去にチーム内で開発を進めていたものがありまして、現在精度が90%くらいまで高まっています。現場の需要がわからず開発が止まっていましたが、図らずも2つの機能が今回の対談で着手できることがわかってしまいましたね。(笑)

今後、このプロジェクトがどのようになって欲しいですか?

(H.F)すべてのクライアント&スタジオで快適にモデルスペック自動入力機能が使用できるように、機能を改善していけるプロジェクトになってほしいと思います。

(M.F)このプロジェクトを通じて品質が上がることで、誰しもが快適な商品管理ができるようなSaaSになってほしいですね。また、今回のような改善導入例がPCSにとどまらずに、ダイアモンドヘッドの他のプロダクトに適用されて欲しいです。

(K.I)私も、この機能が標準化されて色々なところにAI技術が結びつくことを期待したいです。登録作業時に発生する入力ミス・確認ミス等のヒューマンエラーは、業務課題の一つだと思うので、AIの技術で課題が解消されると嬉しいです。

目次

EC運用は、AIでもっとスマートに。

aico